#このラジオがヤバい 的なやつ〜負けるが勝ち山里亮太の不毛な議論〜
「劣等感は最大のガソリンだ」と唱え、自らの嫉妬と劣等感を努力する、または生きるための材料としている男がいます。
その男のツッコミセンス、ワード選び、ボキャブラリーの豊富さは他の追随を許さず、その芸風から“天才”と称されることもしばしば。
そんな天才が書いた自伝的エッセイ「天才はあきらめた」という誰かから天才と言われたいがために書いた“天才をカツアゲ”している本の帯に書いてある一文が冒頭の台詞です。
努力すると表現しましたが、彼は他人の足を引っ張ることも多く、かつてはクズ芸人とも呼ばれていました。
有名なエピソードでは、相方のドラマ、映画出演などの活躍に嫉妬し、コンビでテレビ出演する際には一切口を開かせないように自分だけが喋り続ける、台本を相方がおいしくならないように書きかえる、悪い噂をながす、あげくにはコンビでの共演がNGに。。
このようなエピソードが赤裸々に語られた「天才はあきらめた」を読むとあまりのクズさにまだ自分は大丈夫だなと謎の自信が芽生えます。
彼らの名は「南海キャンディーズ」。クズ男こと山里亮太さんと大女ことしずちゃんからなるコンビです。
そのクズ男の方がやっているラジオ番組がTBSラジオ「山里亮太の不毛な議論」。
山ちゃんの嫉妬や、変態性、モテない男の悲哀が遺憾なく発揮され、10年近く彼のこの一週間の掃き溜めのような役割を果たしています。
この番組の特徴はまず、山ちゃんの一人喋りの達者さにあります。
月曜日にラジオの帝王伊集院光さんが一人喋りの王として君臨していますが、山ちゃんの上手さも負けていません。
自らがどれほどクズであるのかをリスナーに見せ、下からマウンティングすることで自分のペースに持ち込んでいくスタイルを得意としています。
前回の放送ではオードリー春日さんの結婚の話題でモニタリングを見たという話に。自分はオードリーにあらゆる面で負けているが、人としての心はまだあのサイボーグ二人には勝っているはず。だから人間らしい面は見せないでほしかったけど、二人のあの涙をみて、思わず負けたと舌打ちをしてしまったと話していました。
山ちゃん、やってんな~。
このように自分がいかに小さくてみすぼらしい人間なのかを表現して笑いと同情を誘うのが彼の手法です。
ちなみにオードリーには対抗心を燃やしていることが多いらしく、日向坂46のメンバーがオードリーと番組で共演するようになってからどんどん面白くなっているということに関しても嫉妬をしていました。
そしてもう一つの特徴はファンとの距離の近さです。
リアクションメールはもちろん、山ちゃんが地方に行くとリスナーが車で観光地を案内したり、一緒に飲んだりして交流(自身でふるさとやりマンと呼んでいます)を深めています。昨年行われた単独ライブ「他力本願ライブ」でもリスナーのアイデアを活用して見事成功を収めました。
リスナーから送られるメールも番組の最後にできるだけ紹介しています。
ちなみにリスナーからのネタメールは非常にレベルが高く、山ちゃんをいじる内容が多かったりしますが、彼は受身を取るのが抜群に上手いので、この一連のプロレスがかなり面白いです。
昔からファンを大切にしていたと思いますが、近年それに輪をかけてたくさんのリスナーと交流をしているように思います。
番組が始まった当初はしずちゃんとの仲は最悪。山ちゃんもクズ芸人というイメージがありました。
それが近年、しずちゃんの「もう一度漫才をやりたい」というアツい想いをきっかけにコンビ仲は回復。一緒に飲みに行ったり、誕生日プレゼントを贈りあったりする仲になったそうです。
その頃からだと思うんですよね。リスナーと頻繁に交流し出したの(違ってたらご指摘ください)。
確証はないですが、しずちゃんとの仲をきっかけに自分自身を改め、優しくすることの大切さを知ったのではないでしょうか。
今では、しずちゃんがゲストで来て漫才をしたり、山ちゃんがラジオを欠席するときはしずちゃんが代打として出演したりしています。
特に代打を出す時、真っ先にしずちゃんを選んだというエピソードは彼らの過去を知っているだけにグッとくるものがありました。
リスナーも相方も大事にする今の姿にはかつての暴君山里の影は見えません。
ちょっとリスナーに媚売りすぎじゃない?と思う時もありますが、そのくらいの「ヤり」が今の彼らしいなと感じます。
ただ、未だに嫉妬の炎は燃え盛っています。これだけ売れているのに同期後輩に対して悔しさを前面に表す人って珍しくないですか?
これからも下から下から、負けるが勝ちを体現するラジオであってほしいです。
山里亮太の不毛な議論はTBSラジオで毎週水曜深夜1時から3時までの放送。
聴き逃した方はradikoのタイムフリーからどうぞ。
一週間以内の放送であればいつでも聴くことができます。