メトリブダイアリー

お笑い、ラジオ、音楽(主に邦ロック系)などサブカルなことや日常のことを書き連ねる予定です。一人でも多くラジオを聴く人が増えるといいと思ってます。

Creepy NutsのANN0(ZERO)『THE LIVE 2020』 ~改編突破 行くぜ HIP HOPPERでいつも通りの2人を見た。

Creepy Nuts(以下クリーピー)がパーソナリティを務めるオールナイトニッポンZEROの3年目突入祈願イベント「Creepy NutsのANN0(ZERO)『THE LIVE 2020』 ~改編突破 行くぜ HIP HOPPER」。運よく、中野サンプラザのチケットが取れたので現地でその様子を目撃してきました。 


まず、事前物販は当日の12時から始まり、16時に開場する15分前まで行われていたのですが、遊戯王をパクったRさんのメモカードや、残念な間違いすぎるDJナカムラTシャツはものの1時間程度で売り切れてしまったそう。15時前くらいにのんびりと会場に行ったのですが、タオルしか買えませんでした。その後、暇をつぶしにマクドナルドに行くと、早々に物販を購入して身に着けている人や隣の席でデュエルして店員に注意されている人などがいてあの時の中野はリスナーが支配していたといっても過言ではありません。

 


肝心のライブですが、入ってまず目に飛び込んできたのは大きい階段やドラム缶から湧き出ている紙で作ったであろう偽物の焚火、「cnann」とレンガにペンキで描いてある壁といった迷走感たっぷりのビジュアルでした。開演10分前になると、「8mile」に出てくるようなダボダボの服を着てキャップを被った男たちが数人出てきてその周りで下を向いて座り始めました。ミュージカルでもやるのか・・会場が初めてほんのりざわつきだした瞬間でした。

 


ほぼ定刻通りに会場が暗転し、スクリーンに映像が映し出されます。オシャレな海外アニメタッチのオープニングです。しかしそれを見て、客席はドッと沸き上がります。映画「Catch Me If You Can」のオープニング映像なのですが、こういった普通に接したら特に笑うものではないのに、番組内で少しいじることで、自分たちだけが共犯者のように面白くなってしまうというラジオに限ったことではないですが、番組イベントならではの現象がいきなり起こりました。

 


オープニング映像が終わり、映画本編の映像が流れだし、いつまでやるんだと思ったとき、映像が一時停止され、「フッ」とR-指定さんの声が聞こえます。
R「これなんやねん」
松「いや、ここで止めたのは賢明だと思うよ」
と、二人の声だけが聞こえる状態が続いたあと、「それじゃあ行きますか」と満を持して主役の二人が登場。早速、誰もが抱いていた会場セットの違和感について話し出します。
松「これはスタッフが思う、HIP HOPのイメージを体現したそうです」
R「いや、なにこれダサない?」
松「オレらってこういうステレオタイプなHIP HOPやってこなかったじゃん。なんかまだまだだなって思ったわ」
R「このドラム缶から出てる火もこれ紙やで」
松「・・・この人たちは誰なんでしょうか」
R「すいません。今日どっから来たんですか?」
?「・・・」
R「え、こわ」
松「すいません、こんにちは!」
?「・・・」
松「え、なにこれ。じゃあとりあえず、始めよう。スタッフさん、机お願いしまーす」
おもむろに動き出すエセラッパー達。
R・松「え、ええ?」
松「え、この人たちスタッフだったの?」
何も発さずに、いつもラジオで使用している机と椅子を用意しだすエセラッパー達。
松「ラッパー達がバミリ通りに机を置きましたね」
R「そこはラフに置くもんやねん。なんもHIP HOPじゃないから」
先に言いますが、この日後ろに合った階段などのセットはこれ以降1mmも使うことはありませんでした。


クリーピー初の番組イベントということで何をするのかと思っていたのですが、松永さんは「いつも通りの番組をします」と発言。「それでは今週のHIP HOPニュースです」と確かにいつも通りの番組が中野サンプラザで始まりました。
松「ビリーアイリッシュ、ラッパーは全員嘘つきだと発言」
初の番組イベントに相応しい、新人賞含めたグラミー賞4冠獲得の化物シンガーについてです。
松「Rさんは嘘つかないですよね?」
R「オレはそんな嘘なんてつかへんから」
松「じゃあここで宣言してください。今日嘘つかないって」
R「なんでやねん」
と言いつつも、立ち上がり、客席を見渡しすとスポットライトが彼を照らし
R「え~中野サンプラザにお集まりの皆さん、全国のライブビューイングでみていただいている皆さん、私、R-指定は本日、一切嘘をつくことなく最後まで取り組むことを誓います!」(だいたいこんな感じのことを言ってた)
と、高らかに宣言します。ちなみにこれも先に言いますが、特にこれが伏線になるとか、後半でいじられるとかはありませんでした。

 


HIP HOPニュースが終わるとCMという体で幕間のVTRへ。
昨年、リスナーの中でプチバズりした伝説の多次元トラベラー「Lil Cory」。完全に忘れていましたがスタッフはこの明らかにヤバイやつが番組イベントの成功のカギを握っていると確信したらしく、出演依頼のコンタクトを取り始めます。DMでアポを取り、何度も着信を残すも電話に出ることはなく、「To Be Continued」と文字が出て、映像は終了しました。
え、この後リルコーリー登場すんのか?と客席は来てくれたら面白いかもしれないけど正直そんなに見たくはないわ・・という微妙なざわつきが起こったところで、クリーピーが再び登場。
R「せっかく風化したと思ったのに」
松「もう関わんないで」
しかし、「To Be Continued」が気になります。

続いては「ラジオHIP HOP」のコーナー。
「ラッパーはものを食べるときチェケチェケと言いますか?」というラッパーいじりの質問や「DJ初心者がカッコよく見えるDJプレイはありますか?」というまじめな質問、「AVを見てるとき、女優より後にイクことをギドライキと言いますか?」というど下ネタメールなどいつも通りかそれ以上のクオリティのメールを読み上げました。
DJに関するメールでは、松永さんが「じゃあちょうどDJブースもあるんでやってみますか」とこれ見よがしにレコードを「チェケチェケ」と回し始めます。初心者でも簡単にできる技とはレコードをぶおおんと左手で力強く回転させた後、すかさずププププーンというみんな大好きレゲエホーンを鳴らすということ。
Rさんも挑戦していましたが彼は不器用でした。
ちなみに、Rさんはかつて松永さんの家に行った際(一緒に住んでた時か?)、デリヘル場を呼び出し、DJブースを見られたので適当にスクラッチしたら「スゴーイ」と言われたとのこと。
この辺でエンジンが掛かってきたのか、いい意味で緊張感がなくなり、いつも通りの下ネタを嬉々として話し出す二人(DJは他人のチンコをサンプリングするのかというメールは意味不明でした)。
恐らく、母と娘で来ていたであろう僕の隣の席の二人が微動だにしなかったのが印象的でした。

 


次の幕間VTRもリルコーリーへの交渉です。ついに電話が繋がり、「イベントに来てくれますか?」と問いかけます。「いいぜ」と軽く答えるリルコーリーに対し、「ただ、予算がないのでノーギャラでお願いしたいんです」と告げると「それじゃあ無理だ」「頭おかしいのか」と返され、ピー音が鳴るほどの恐らくFワードを発したところで交渉は決裂。真っ黒の画面に「END」の文字が浮き出て、会場中が安堵の笑いを響かせました。

 


続いては「THE 地獄」のコーナー。R-指定代表リスナーとDJ松永代表リスナーを選出し、フリースタイルラップバトルをするというもの。リスナーが“ネタ”で送ってきただけなのですが冒頭のCatch Me If You Canといい、本当にそれやんのかいという悪ノリばかりです。
R「素人のフリースタイルなんて見てられへんのよ」
松「でもそろそろ育ってきてると思うのよ。リスナーからラッパーが。その初めてのラップがこの中野サンプラザよ」
R「まあやるしかないか」
と、客席を見渡し我こそはという人を挙手制で募ります。
チラホラと手が挙がります。とてつもない勇気です。尊敬しました。
結果、Rさん代表はヨシダさんという大阪から来た若い男性で、松永さん代表はしらたきさんという東京の若い女性に決定しました。聞くところによると二人ともラップは未経験とのこと。
自分には逆立ちしてもこんな勇気は生まれないでしょう。素直に尊敬します。と同時に、Rさんの「素人のフリースタイルなんて見てられへん」という言葉が頭に鳴り響きました。
RさんがZeebraさんよろしく「DJ松永カマセー!」と叫び、松永さんが8小節の曲を奏で先攻吉田さんがバースを発します。
・・・ん?あれ、結構韻踏んでる?え、普通にうまいやん
と思ってしまうほどでした。
Rさんも「結構できてたやん」と称賛します。
続いてしらたきさん。
松永さんの愛を叫ぶと宣言し、しっかりとしらたきと松永大好きで韻を踏みます。そして会場にも「セイホーオ」と呼びかけるというテクニックも見せ、ちゃんと盛り上げていました。
もちろん、事前に準備はしてきたのでしょうが二人とも番組の仕込みか?と思ってしまうほどのクオリティでした。会場も盛り上がっていましたし。なによりこんな何をしても叩かれるような時代でなるべく目立たずに生きる人が多いはずなのに、、、その勇気に感動させられたのを思い出します。
クリーピーの二人も「ホントに素晴らしい」と称賛していました。それはあの場面を見ていた誰もが思っていたでしょう。

 


松「リスナーのバトルを見てたらオレもアツくなってきたな。俺達もバトルしようぜ」
R「は?」
松「カードスタイルMCバトルでな」
松永さんが物販で売られているRさんのメモをもとに作られたトレーディングカードでバトルをけしかけてきました。
デュエリストになった松永さんは早速早口でルールを説明。「アジリティ」だの「アティチュード」だの「HP(ヒップホップポイント)」だのの単語を発して説明していましたが、僕はほとんど理解できませんでした。
詳しくは公式ルールがあるらしいので下記をご参照ください。
https://www.allnightnippon.com/creepynuts/creepynuts_blog/20200208-50696/

20代後半男性のマジデュエルを見守る選ばれし2000人と全国のライブビューングの皆さん。。謎の時間が過ぎていきました。
見ていると昔懐かしい遊戯王のような雰囲気でゲームは進んでいき、電卓をはじきながらダメージ計算をしていきます。時折発動する「0のなんちゃら」でダメージが無効化され、わちゃわちゃやってる間に松永さんが勝者ということになっていました。。

 


たしかこの次あたりの幕間VTRでFLOWのメンバーのサングラスをスタッフがとってくるという件がありました。昨年12月31日に放送された三四郎の年越し特番でTBSのCDTVでFLOWと共演するクリーピーに同様の命令を下した三四郎。「WE ARE FIGHTING DREAMER CHALLENGE」とFLOWの名曲[GO]をいじったこの企画は恐らく、次のスペシャルウィーク三四郎のラジオに出演するRさんが三四郎にこのサングラスを渡して終了となるでしょう。恐らく。

幕間明けに始まった「大江戸シーラン」では、スポットライトを浴びながらリスナーのネタメールを読んでいた松永さんが「眩しいな」と話し、FLOWのサングラスを掛けていました。
ラジオネームが読み上げられるたび、少しだけ沸く客席がラジオイベントっぽくて気持ち悪かったですね。もちろん良い意味で。

 


そしていよいよイベントも終盤。番組でも最後に行っている「日本語ラップ紹介のコーナー」が始まりました。
この日はもちろん、イベントのタイトルにもなっているZEEBRAさんの「MR.DYNAMITE」。「ジブさんはやっぱりすごい」「わかりやすいけど実はすごいテクニカルなことしてる」「HIP HOPシーンだけでなく、音楽シーンを変えた」とほめちぎっていた二人ですが、徐々に「ジブジブパニック」や「テキーラの瓶みたいにビンビン!」発言などその生ける伝説をいじり倒すいつもの二人に戻っていました。
すると会場に「ちょっとやめてくんなーい」と聞き覚えのあるダミ声が響きます。
松「え、え、これ録音した声流してるだけだよね」
ざわつく会場。
?「オレのこといじるのやめてくんなーい」
ZEEBRAさんがRさん曰く2000年代の顔で登場してきました。
そしてそのまま「MR.DYNAMITE」を熱唱し、それがそのままこの日一番の歓声となりました。
Rさんは一緒に歌い、ほぼ全員が立ち上がった客席を盛り上げ、松永さんもその光景を後ろで見ながら控えめに歌っていました。
Z「この曲さ、結構なクラシックだからね。オレもそこそこベテランだらからね。それをこんな簡単に使って・・」
R「いやそうですよね~。ホンマに驚きました。ありがとうございます」
松「ありがとうございます」
ZEEBRAさん、良い先輩感あって最高です。
そしてそのまま袖にはけていきました。

 


R「いや~こわかった~」
と、興奮冷めやらぬ中、「じゃあオレ達も」と言って彼らの“本職”である音楽で会場を魅了させます。
やっぱりラップしてDJする二人が一番カッコ良いですね。昨年の武道館ライブの時のオードリーも、散々内輪ノリラジオノリでふざけたことをした後に、本職の漫才で更に爆笑をかっさらっていましたが、このギアを一個あげる感じというか、急に本気出す瞬間で(あ、いろいろ馬鹿にされたりしてるけどやっぱりすごいんだこの人たちもう参りましたこれからもついてきます~)って気持ちになります。あの独特の無敵感はラジオパーソナリティならではな気がしますね。
最後にはZEEBRAさんが再び登場し、代表曲の「Street Dreams」を三人で演奏しエンディングへ。

 

 

松「まさかジブさんと三人でStreet Dreamsやるとは思わなかったわ」
R「ホンマありがとうございます」
Z「まあオレにとっては一生世話のかかる後輩だからね」
Rと松(お辞儀をする)
Z「テキーラの瓶!みたいにビンビン!」
と言いながら再び退場。最後まで粋だわ・・
そしておなじみのビタースイートサンバが流れる中、二人は改めて“改編突破”を祈願してイベントは終了。
R「ここまでのお相手はCreepy NutsのR-指定と」
松「オレ」
暗転・拍手

 


エンドロールはMR.DYNAMITEに乗せて二人のオフショットが流れました。ラジオ前の様子やCM中の何気ない表情、帰りのエレベーターでおどけるRさんなど思わずニヤリとしてしまう内容でした。
そして最後に再び
R「ここまでのお相手はCreepy NutsのR-指定と」
松「DJ松永でした~」
R・松「また来週~」
とスクリーンの中で終わりのあいさつをしてイベントは終了しました。

 


まだ歴史も浅い番組というのもあったのか、感傷的になることもなく、カラっとさらっとした肌触りだったのが印象的でした。恐らくクリーピーの音楽は好きだけどラジオはそれほど・・という人も中にはいると思うのでそういった方のためにもあまりそういう雰囲気を出さなかったのは良かったのだと思います(コーナーはラジオ聴いてないと意味不明ですが)。
そんな中でもいつも通りの進行とネタを本気でやっちゃういつも通りのアホさが爆発していました。

 


よふかしのうたを演奏する前にRさんが「オレ達が今大事にしているものは全部夜に出会ったものなんです。HIP HOPも大好きな先輩もラジオも。だから夜というのはオレ達にとってとても大切なものなんです」というようなことを言っていました。ただの夜型人間なのですが早く寝るのはなんかもったいなかったもっとなんかあるんじゃないかと思っていたのはわからないでもない気持ちです。
そしてそれは多くのリスナー達も共感できるはずで、「皆さんも社会不適合者です」とRさんは表現。
よふかしのうたでも出てくる歌詞で、ラジオリスナー独特のダサくて気持ち悪い仲間感が最高です。

 


リスナーのネタもいつも通り咀嚼して見事に体現したイベントでした。これはさらにファンが増えそう。。
改編突破どころか1部の壁も突破してしまいそうな勢いでした。

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