オードリーのオールナイトニッポンin武道館に行った話(後編)
後半はオードリーゆかりの「そっくり館キサラ」のショーパブ芸人が登場。バーモンド秀樹が西城秀樹の「YMCA」を歌い、ビトたけしはビートたけしの「浅草キッド」を熱唱した。オードリーが売れない頃から付き合いがある二人との掛け合いは会場の小笑いを獲得していた。
その後、過去にはラジオにも出演し、大ハネしたゲスト「松本明子」が登場し、アイドル時代の「♂♀キッス」という歌を披露した。僕は知らなかったし多分周りの人たちも知らなさそうだったけど、ボディビル姿の春日が「おねえさーん!」といいながら台車に乗っていたので会場は盛り上がっていた。そして最後はお約束のキスをして終了。
僕はなんともいえない気持ちになった。
続いてはスペシャルゲスト登場。「カンッ」という小気味良い音が響き、イントロが流れる。あの人だ。舞台下から自称天才女形役者「梅沢富美男」が現れた。この人も過去にラジオで出演し、大ハネしていた。そのときは若林にケツバットを食らっており、持ち前の気前の良さを感じられた。そんな梅沢さんが代表曲の「夢芝居」を熱唱しているとなんと「MC.WAKA」が乱入してきたではないか。
僕は初めて生でMC.WAKAを観たので素直にとても嬉しかった。夢芝居の合間に「橋本マナミ!飯に誘う!」など梅沢さんのプライベートな女性関係を中心にラップに乗せて歌い上げていた。
後にcreepy nutsがラジオで「若林さんのラップの腕前が上がってて焦った」と言っていたが、確かに。ラップの上手い下手は分からないけどなんか難しいことしているなとは感じた。なんとなくね。そして最後はこちらもお約束のケツバット。受ける際には何の抵抗もしない梅沢さんが潔くてかっこよかった。
ライブもいよいよ終盤。近年は下ネタ100%の「しんでもやめんじゃねぇぞ」のコーナーが始まる。いつもの通り春日がビートたけしのものまねをしながらメールを読んでいる。
こんなところで自分のメールが読まれて、笑ってもらうなんて相当気持ちいいだろうな。
最後のメール「風俗の受付が妙ににらんでくるな~と思ったら・・爆笑問題の宣材写真だったこと。しんでもやめんじゃねぇぞ!」がもしかしたらこの日一番笑ったかもしれない。
申し訳ないけど。
そしてエンディングもいつもの「The Fratellis」 の「A Heady Tale」に合わせてのトーク。「俺は変わったんだ」と若林がつぶやき笑顔でダブルピース。全員で写真撮影も行った。
「この後着替えて漫才しに出てくるんで」と言い残し会場を後にする二人。
そして番組でも特別なときにしか流れない「カラーボトル」の「10年20年」が流れて写真や音声などでこれまでの番組の歩みを振り返る。このときはこんなことに悩んでたな。あんなことしてたな。とか色々と自分のことも思い出していた。
毎週毎週飽きもせず聴いていたラジオを一気に振り返えされるとイヤでも自分も振り返っちゃうんだなあ。曲が終わると周りには涙する人もみられた。
気持ちは良く分かる。
聴いててよかったなって気持ちにさせてくれるのだ。
会場が暗転し、マイクスタンドがせり上がる。「アナログフィッシュ」の「SHOWがはじまるよ」が流れて両脇から漫才用に着替えたいつものオードリーがやってきた。
この曲は2013年の単独ライブでテーマ曲として使用されていた。当時は行かなかったけどDVDを観た後、itunesを利用して初めて購入した曲だ。
そんなSHOWがはじまるよに乗せて登場する二人は計り知れないほどかっこよかった。そこから約30分(本当は24分)漫才をして360度を笑わせ続けたオードリー。内容もいつも通りのバカ漫才。だから内容は覚えていないけどいつものラジオのトークに春日のキャラが乗っかったような感じだった。でもここにいる人達にはそれが一番刺さるはず。
大爆笑のまま、気付けば最後の「お前それ本気でいってんのか?」という台詞を言っていた。
大歓声の中、カーテンコールで出てきた二人はやりきった達成感というよりかはやっぱりいつも通りのゆるいトークを繰り広げていた。Twitterとかで若林が泣いていたと書いていた人もいたけど。
最後は若林「おやすみっふぃーちゃん」春日「このあとまた深夜1時にお会いしましょう。アディオス」というこれもまたいつも通りの挨拶で締められた。
3時間半。このライブの長さだ。ゲストが来て歌ったりしたものの、その多くの時間をトークでリトルトゥースを楽しませたオードリーは偉大だ。
完全にヒーローだった。
その後いろんな人が言っていたけど「リトルトゥースでよかった」という一言に尽きる。
10年間聴いてきてよかったよ。
田舎から上京して誰も知らない大学に入って人見知りを発揮。上手く人と話せずに、自分はダメだと落ち込んでいたときにラジオで若林が人見知りという闇について自虐的かつ面白く語っていた。
これでいいんだと思えた瞬間だった。
味方をみつけたような、生きてもいいと肯定してくれたような、僕にとっては救いのラジオだった。
その後、若林はおじさん化に伴い、飲み会も苦ではなくなっていき、僕も段々と社会に溶け込んでいくようになった。
あの頃のようにいろんなことに悩んだりイライラしたりすることは少ない。毎日同じような日々を生きるようになってしまって、反発しないことがストレスを生まず、円滑に人生が進むということを知ってしまった今、刺激もない日常がつまらなく感じることもある。
いつも通りが続く毎日だけどこんな日があるのなら社会も悪くないかな。