#このラジオがヤバい 的なやつ〜"負け"ラジオCreepy Nutsのオールナイトニッポン0
“自称”世界一のラッパー「R-指定」と“自称”世界一のトラックメーカー「DJ松永」によるHIP HOPユニットCreepy Nuts。彼らのオールナイトニッポン0がめでたく2年目を迎えました。
三四郎が4年続いたのですごさがかすみますが、オールナイトニッポン0が2年目に突入することは相当評価されている証拠。
放送時間は毎週火曜日の深夜3時から5時までで、誰も聴いてなくてもおかしくない時間帯にもかかわらず、この一年でたくさんのリスナーを獲得しました。
放送は二人のトークを中心にリスナーからのメールを読んだり、独自のコーナーを行ったりしています。
この番組で僕が特徴的と感じるのはリスナーとの距離感です。
基本的にリスナーは二人のことをなめています(笑)
場合によっては馴染みが薄いHIP HOP自体をディスるメールが送られることもあります(ラッパーは落研のことをお“チェ”研と呼んでますか?などのチェケラいじり)。
このようなメールに対して二人の受け方が抜群で「他のラジオでは絶対言うなよ!宇多丸さんの番組とか絶対ダメだぞ!」と顔が見えないから言いたい放題のリスナーと先輩ラッパーとの板ばさみにされている構図を造るのが絶妙で、思わず先輩にビクビクしている二人を想像して笑ってしまいます。
しかし、番組の最後には二人が影響を受けた日本語HIP HOPを一曲紹介するという真面目な一面も。
この按配も絶妙ですよね。
ダサい姿を晒すだけではない、彼らのHIP HOPに対する熱量を感じられる時間。
二人の過去のエピソードを交えながら熱く語られると、こっちまで胸が熱くなります。
笑いと音楽の二面性がCreepy Nutsと彼らのラジオの強みなんですよね。
HIP HOPユニットと聞くとクラスの一軍的な人達が組んだユニットかなと思うかも知れませんが、彼らは人見知りでコミュ障。友達も少なく、暗くて引っ込み思案な人たちです。
「あれ?僕たち深夜ラジオリスナーといっしょじゃん!」
そう。そこが人気である最大の要因なのではないかと思います。
実際の放送でも、飲み会に行った際、話せなくて後輩がその場を回している、先輩や知らない人にビビリ倒す(本人がいないところではディスっています)などのエピソードが語られています。
普段、“負け”ることが多いリスナーと同等、いやそれ以上に“負け”を経験しているパーソナリティー。10代、20代前半のリスナーは20代後半のちょっと年上の“負け”ている人間達に親近感と安らぎ、安心感を覚えるのでしょう。
DJ松永はかつて「ラジオは逃げ場」と語っていたことがありますが、松永自身もリスナーに逃げ場を与えているはずです。
個人的なことですが僕と彼らは同世代です。放送内で語られる学生時代の思い出や当時流行っていたものは、共感できるものばかり。性格も似ているので仲が良かった学生時代の友達を思い出したりします。
そんな若い世代だけでなく、アラサーにも響く“負け”のラジオ。
僕らの世代の雑草としてこれからも“負け”続けてほしいです。