メトリブダイアリー

お笑い、ラジオ、音楽(主に邦ロック系)などサブカルなことや日常のことを書き連ねる予定です。一人でも多くラジオを聴く人が増えるといいと思ってます。

#このラジオがヤバい 的なやつ〜不器用に生き様を見せるミレニアム世代を応援したい 佐久間宣行のオールナイトニッポンZERO 8月28日放送〜

テレビ東京の敏腕プロデューサー佐久間宣行さんが唯一と言っていいほど仲の良い芸人、それが深夜の一人バスケットが大好きな悲しきラジオスター、オードリー若林さんです。そんな若林さんが遂に佐久間さんのオールナイトニッポンZEROに出演。前回のゲストオークラさんに続いてアツい芸人トークを聴かせてくれました。

 

なかでもやはり最も興味深かった話は「世代論」でしょう。前回のオークラさんゲストの際はバナナマンおぎやはぎラーメンズバカリズムアンタッチャブル劇団ひとりなどの「お笑い第5世代」(特に定義があるわけではなさそう)の売れていない頃の秘蔵トークを間近で見てきたオークラさんの視点から語られていました。関東のお笑いファンはこの放送をradikoで聴ける一週間が永遠に終わらないでほしいと思ったに違いありません。

 

そんな第5世代を裏方としてある種客観的な目で語っていたのがオークラさんなら、若林さんは主観的に自身の世代である「ミレニアム世代」について語ってくれました。

 

 

ミレニアム世代とは2000年付近にデビューした芸人達の総称であり、バナナマン達第5世代の少し下の世代に当たります。オードリーのほかには南海キャンディーズNONSTYLE、ナイツ、ピース、流れ星、ウーマンラッシュアワーキングコングや千鳥もこの世代と言われています。

若林さんはこの世代の芸人達の特徴として「影がある」と話していました。曰く、バナナマンおぎやはぎといった一つ上の世代の芸人達はクラスでもトップクラスのヒエラルキーに属しており、圧倒的な陽のオーラを放っています。その一方でミレニアム世代の芸人達はどちらかというとクラスでは目立たない存在で、文化祭でバンドをやるようないわゆる一軍の人たちを“ナナメの目線”で見ている、その陰のオーラがこの世代の一つの特徴だといいます。

オークラさんもミレニアム世代の芸人は泥臭いイメージがあると話していたような気がします。

ちなみにこの世代の下にはあのオリエンタルラジオがいます。キングコングや千鳥は別としても今まで売れないながらも懸命に漫才の稽古に取り組んでいたところ、デビューしてすぐのリズム芸人に振り向きもせずに一瞬で抜かれていくという屈辱的な経験を経ているのがこの世代のメンバー。売れるのに時間がかかった苦労人が多いこの世代は、どうしても影を感じてしまうことが多いのです。

人見知りだったり、ひねくれていたり、皮肉ったり、腐ったりという負の芸風を前面に押し出すというのもこの世代から始まった感もあります。

 

そんなミレニアム世代の代表作として、2014年から約一年間フジテレビで放送されていた「ミレニアムズ」があげられます。

オードリー、山ちゃん、ナイツ、ウーマンラッシュアワー、流れ星というメンバーがコントやさまざまな企画を行うというものでした。自身のラジオでも「戦慄の腰掛け」という複数の芸人を集めてコントを行うなど、TVでの集団コント番組に強い憧れを持っていた若林さん待望の番組でした。

ただ、この番組の問題点を佐久間さんが指摘します。

佐「普通、芸人が集まる番組って売れない頃からやるじゃん。でもミレニアムズのメンバーはそこそこ売れてTVに出てからやっているからなんだろう・・すごく言いづらいけど芸人が番組に恩義を感じていない。ガハハハハハ」

若「ハハハハハ。いやもっとソフトな言い方なかったかな。いやでもホントそうで、あれ始まったのがみんな35歳とかでTV出て5年くらいは経っているんですよね。それで初回なんかSEKAI NO OWARIさんとか来て泡バーってかけられるんだけどそれが全然オレらにあってないんですよ」

佐「それは思った。こいつら全然似合わねえって」

若「フジテレビのバラエティってこう、文化祭、体育祭じゃないですか。集団でやっていくっていう。で、オレらは結構そういうのに参加しなかった側でどっちかっていうと個でやっていた方だから」

 

結局、みなさんこの番組ではどこか無理をしていたのではと思います。当時を思い出すと、やらされている感満載のキャラを纏ってどこか背伸びをしているような企画を行ったりしており、観ていてもなんか違うなとどこか違和感を感じていました。

もちろん実力は十分なのですが、彼らは生き様芸人なのでどうしてもこれは無理をしているのでは?と思ってしまうんですよね。普段の漫才やトークで全部を出している分、そこからはみ出ていると感じるとおかしいと思ってしまう。

その反面、たりないふたりを生み出した「潜在異色」は彼らにピッタリ。彼らの生き様というか本心が見えるので、佐久間さんと若林さんは番組に影があると表現しましたが、そういった闇を感じる部分があると安心して観ることができるのです。

 

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佐久間さんも言っていたし、どこかでアンガールズの田中さんも言っていましたがオードリーは単体で見ても二人とも華があります。なのに卑屈で暗くて人見知りで団体行動が苦手という部分があります。だから幅広い人気はあるし、その一方ではラジオも面白いのです。

爆笑問題の太田さんはオードリーのことを「TVはつまらないけどラジオは面白い」と評していたよう。若林さん自身も分析していますが、オードリーは団体芸が苦手で密室芸が得意なコンビです。ラジオやライブなど少人数でたくさんの人を笑わせることが向いているのだと思います。

 

そんなオードリーと佐久間さんがタッグを組む「あちこちオードリー」が10月からレギュラーになることがこの日発表されました。8月上旬に単発で放送され、9月にも放送が決定しています。個人的には2ヶ月に1回くらいのペースが長く続く気もするのですが、この番組も居酒屋の店主役の春日さんとその常連という設定の若林さんプラス少数のゲストという少人数が得意なオードリーにピッタリの構成です。

オールナイトにゲストが来たような感覚で観ることができると思います。

 

 

この日もオークラさんとも話していた世代論は面白すぎます。ぜひ本すべきです。むしろ僕が取材して書籍化したいくらい面白い。あとは霜降り明星せいやさんの第7世代も一緒に。

個人的に最も好きなM-1は2008年だし、レッドカーペットは毎週観てたし、どうしてもこのミレニアム世代には一番影響を受けてしまっています。

そして応援もしたい。思い入れが強いのです。

この世代の芸人達は不器用ながらも遠回りながらも自身の生き様をむき出しにしながら這い上がってきた匂いを感じます。

もはやミレニアム世代ではなく、“生き様世代”と呼んでも良いのではないでしょうか。

そのくらいこの世代はカッコいいのです。

あ、でも山ちゃんが生き様芸人ではないのか。。